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口蹄疫5 種牛処分回避の理路

口蹄疫の影響か、宮崎市北部でやっている外来の新患初診も少なかったです。
宮崎県ではテレビをつけても新聞を開いても口蹄疫関連のニュースで埋められており、私の実家の商売も影響を受けています。
今までの所、県知事の対策をとても高く評価しています。防疫戦略、広報戦略、政治判断、など。

知事は高鍋町の県家畜改良事業団に存在する49頭の種牛処分を回避しようと国に働きかけています。
このアクションには主に政府首脳や県外の方から批判の声が上がっています。
県の所有する49頭の種牛のみ特例を出せば、民間で1頭や2頭の種牛を飼っている所も特例を求める、示しがつかない、という理屈です。
県家畜改良事業団の所有する49頭という数の種牛は、その数と種牛の質がゆえに公益性を帯びます。
申し訳ありませんが、民間の種牛を数頭殺処分する場合と、この49頭の種牛全てを殺処分する場合では宮崎県や日本の畜産業界に与える経済的損害は比べものになりません。
長年かけて改良を重ねてきたこれだけの数の種牛というのは、公共財です。法を柔軟に運用してこれを守ろうというのは当然のアクションだと思います。

疑似患畜が出た農場の牛豚を殺処分しなければならない法的理路を追います。
まず家畜伝染病予防法の第3章 家畜伝染病のまん延の防止には次のようにしか書かれていません。
=====================
(と殺の義務)
第16条 次に掲げる家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該家畜を殺さなければならない。ただし、農林水産省令で定める場合には、この限りでない。
1.牛疫、牛肺疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの患畜
2.牛疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの疑似患畜
=====================
これでは、ELISAで確定した患畜しかと殺義務がありません。(所有者にと殺義務を負わせていること、患畜と疑似患畜は異なる点に注意)


そこで、家畜伝染病予防法では第1章 総則に次のように記載しています。

=====================
(特定家畜伝染病防疫指針)
第3条の2 農林水産大臣は、家畜伝染病のうち、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要があるものとして農林水産省令で定めるものについて、検査、消毒、家畜等の移動の制限その他当該家畜伝染病に応じて必要となる措置を総合的に実施するための指針(以下この条において「特定家畜伝染病防疫指針」という。)を作成し、公表するものとする。
《追加》平15法073
2 都道府県知事及び市町村長は、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、この法律の規定による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずるものとする
=====================

この通り、この家伝法では、都道府県知事は別途農林水産省令で定めるガイドラインに基づいて措置を講ぜよ、としています。

そして、この別途定められたガイドライン(特定家畜伝染病防疫指針)では次のように書かれています。
第2 防疫措置の中の、3 発生地における防疫措置で、
=====================
 (2) と殺の指示及び評価
  ア 家畜防疫員は、(3)のオの殺処分の対象とされた家畜の所有者に対し、と殺指示書を交付する。
=====================

そして、(3)のオとは次の通り

=====================
  オ 殺処分の対象家畜は、患畜及び原則として次の(ア)から(ウ)までに該当する疑似患畜とする。
    (ア) 患畜と同じ農場において飼養されている偶蹄類の家畜の全部。
    (イ) 患畜の飼養管理者が同一に管理している他の農場において飼養されている偶蹄類の家畜の全部。
    (ウ) その他(ア)及び(イ)に準ずるものとして家畜防疫員が認める偶蹄類の家畜(都道府県畜産主務課と事前に協議する)。
=====================

この家畜防疫員とは都道府県の機関である家畜保健衛生所の職員で、「都道府県知事より、その都道府県職員の中で獣医師免許を持つ者から任命され」ます。(ウィキペディアより)



以上をまとめると、農林水産省令のガイドラインでは患畜と同じ農場で飼養されている偶蹄類の家畜の全部を殺処分しなければならず、都道府県知事は家畜伝染病予防法の総則によればそのガイドラインに従わなければならない。
そして、と殺指示書を交付する家畜防疫員は都道府県の職員で、知事の命令によって動きます。

東国原知事が政府に対して要望しているのは、このガイドラインで規定している、「同じ農場」の解釈です。
もしくは、緊急で立法もしくは省令を出してこの種牛処分を回避できるような条文を加える事。


究極、と殺を指示する命令権は県知事にあり、県知事の責任においてガイドラインを解釈し、種牛を処分しないという方法もありかもしれません。
そうした時、宮崎県が家伝法違反を侵した咎にかけられ、殺処分の項の罰則規定に則って3年以下の懲役又は100万円以下の罰金を課せられるかもしれませんが、ガイドラインの内容の解釈を巡って法廷で争う事もできる、、のでしょうか。

言いたいのは、国に殺処分を命令する権限は無く、あくまでガイドラインの内容の解釈を巡ったやりとりなので、県が独自の解釈に基づいて行動し、後で法廷で争う、というシナリオもあるのかなと。そしてその頃には49頭が完全にシロだったか、感染牛が出てしまったか決着がついていると思いますが。


長々とすみません。
知事のブログを見て、整理してみたいと思いました。
法律は門外漢なので、間違いがあればご指摘お願いします。
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プロフィール

清山 知憲

Author:清山 知憲
東京大学を卒業後、沖縄県立中部病院、ニューヨークのBeth Israel Medical Centerでの研修を経て宮崎へ帰還しました。
1年間の大学病院勤務を終え、宮崎県議会議員へ立候補表明をしております。新しいブログは http://www.kiyoyama.jp/blog/ です。
苦情やお問い合わせはこちらまで info@kiyoyama.jp

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